【褒め千切ってもいいですか?】「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を見たので感想を書きます
先日、劇場へ足を運び見てきました。
本当に待ったかいがありました。
待った分だけ感動もひとしおでした。
<https://twitter.com/gundam_hathaway/status/1404331624397897728?s=21>
今までブログで散々語ってきたので、前段はいりませんね。
早速感想について述べていきたいと思います。
【以下、ネタバレ注意】
私が今作に求めていたことは3つでした。
1.映像の重厚感
2.映像にマッチした音楽
3.考えさせられるストーリー
これはすべてガンダムユニコーンに備わっていたものです。だからこそ、同じレベルのものを期待していました。
結果から言えば、これらを網羅し、さらには私の期待を超えるものを見せてくれました。
期待した点について、良かった点と合わせて解説してきます。
1.映像の重厚感
人物や乗り物、ガンダムなど映像に映るものすべてに重さを感じることができました。重さや重力の描き方が正しいかどうかは判断できませんが、そこにその重さがあるのだという説得力があったのは確かでした。ガンダムが急旋回するシーン、急上昇するシーン。物をもつ仕草や人が物にぶつかる時の仕草。そのひとつひとつに重さを感じさせるほどこだわって作っていることがよく分かりました。
例えば、ガンダムユニコーンでは第1話のクシャトリアが出撃するシーン。重たかったですよね。「あっ、この機体、とても大きいんだな」と分かるわけです。
今作でもそれは健在で、中盤の市街地での戦闘は、非常に良かったですよね。モビルスーツだからといって瞬間移動なんてできなくて、接近戦だと特に非常にゆっくりとした挙動で描かれています。そんな攻撃避けれるだろうと思うくらいのスピードなんですけど、攻撃が当たるわけです。パイロットが未熟ではなくて、実際のスピードはあれくらいなのだと納得するわけです。機体の重さ、人の反射神経、夜の視界の悪さなどに影響を受け、こういう状況なのだと見ている側には不自然さを感じさせない映像でした。
映像の重厚感とは、映像の中に重さが存在するかどうかです。閃光のハサウェイもそれは例外ではなく、むしろ素晴らしいレベルのものでした。それが有る映画は確実に面白くなると思っています。
2.映像にマッチした音楽
ガンダムユニコーンで担当だった作曲家の澤野弘之さんが今回も担当しています。私としては嬉しい限りです。ガンダムユニコーンで彼を知り、それ以来ファンとなりました。澤野さんの音楽は映像に溶け込むようにできており、映像と相乗効果を生ませるので見ている人の心を揺さぶってきますよね。音楽を聞いただけで映像が思い浮かぶくらい、印象深い音楽なんです。言ってしまえば、素晴らしい映像にさえ音楽が優っている時もあるくらいで、映像を作る人たちにプレッシャーを与えてしまうほどの音を奏でるんですよね。澤野さんの曲の良さを言語化するのは難しいですが、聞いたことがない人に一度は聞いてみてもらいたいです。単品でも忘れられないと思いますし、映像と見ると格別ですよ。
特に、ダンスフロアのアップテンポな曲からの戦闘シーンへと移る曲は最高でしたね。ただし、今作の音楽はユニコーンと比べ、私からすればまだまだといった印象でした。今作の音楽も素晴らしかったですが、それでも出し惜しみをしているのかなと思ってしまうくらい澤野さんの実力はとんでもないものです。2話、3話が楽しみですね。
3.考えさせられるストーリー
ガンダムという作品は、戦争の中で人と人が、自らの正しいと思うべき道を進み、ぶつかり、本当の正しさに向き合っていく、ヒューマンドラマだと思っています。ユニコーンもそうでした。ガンダムを通して、バナージは人の愚かさと優しさと可能性を知り、自分のやるべきことを理解し、戦いました。私も少なからず思うことがあり、考えさせられた作品です。
閃光のハサウェイも何かを思わせてくれるそんな作品ではないかと期待しています。映画の前半では今の世界情勢を見せられ、タクシードライバーのセリフやハサウェイの葛藤など、第1話は問題提起をしているのだなと感じました。最終話を鑑賞して自分が何を感じるのかがとても楽しみです。
以上、3点の期待をしていたのですが、良い意味で見事にやられました。
続いては、細かい部分に関して個人的に良かった点を挙げていきます。
キャラクターは、ほぼほぼハサウェイ、ギギ、ケネスの3人がメインで進んでいくので、他のキャラクターの存在感はさほど感じなかったのですが、そんな中でもレーン・エイムは異才を放っていたと思います。ケネスからテストパイロットから脱しない実力と思われていますが、市街地に平気で弾を打ち込む腐りきった連邦軍には珍しく、正々堂々と闘う志があって、なかなかの好青年でした。ペーネロペーに翻弄されている感じはなかったですし、ハサウェイのクスィー相手に生還もしています。パイロットの技術と経験を身に付ければ立派なパイロットになるのではないでしょうか。セリフもガンダム節の独白系が多く良かったですね。これからの活躍に期待です。
そして、今作のガンダム節といえば、ギギでしたね。主語の抜けたセリフや抽象的な物言いはとても何だかガンダムっぽく、魅力的に描かれていたと思います。作画も特に気合が入っていて、エレベーター内での魚眼レンズのような描かれ方や随所で見られる目線の動きなど特に細かく描写されていたなと思います。ストーリー上、ハサウェイとケネスが惹かれてしまう女性なので、そこは頑張って魅力的に描かないと説得力が増さないので、納得の力の入れようかもしれませんね。
ハサウェイの正体に早くから気がつく洞察力と感受性を持つ大人っぽさ、そして「やっちゃいなよ、そんな偽物なんか」など冒頭からストレートな台詞を吐く子供っぽさを併せ持っていました。
ギギも自分の生き方に納得はしていなかったようなので、彼女がこれからどんな答えを出すのか気になるところです。
あと、とても細かい描写なんですけれど、ハサウェイとギギがホテルの部屋に案内される場面を思い出して欲しいのですが、覚えてますか?
ホテルマンが、洋服をかける移動式のハンガーラックをコロコロと部屋に運んで来たシーンなんですが、それを止めた時に、洋服が揺れたんですよね。止めた反動でかけていた服が触れたんですよ。こんな細かいところまで作画を割いてるのかと驚きました。普通ここで揺らしますか?ここまでする必要あるかなって思うのですが、こういう細かいところを妥協せずに反映させるからこそ、映像に説得力を待たせているんだと感心しました。素晴らしいですよね。
他にも、市街地戦での一般の市民の顔をしっかりと描いていたところですね。他の人間もこの世界の中で生きていることを実感しますし、戦争の悲惨さも垣間見えました。製作者の方たちが圧倒的なまでにリアリティを追求しているそのこだわりが伝わってきました。
ここまで褒めまくっていますが、褒めるところしかありません。特段、ここはダメだと思うような箇所が私には思い浮かびません。
不満をあえてひとつ言うならば、早く第2話を見せてほしいということだけです。ですが、これほどのクオリティを備えた作品を1年で作れるとは到底思えません。だから大人しく待っています。これまでも延期の延期で待ったので、きっと待っていられると思います。
我慢できなければ原作を読んでみようと思います。
「ユニコーンの時は」「ユニコーンだったら」とうるさい私ですが、ハサウェイに完全に心を持っていかれました。2話、3話を見てみないと最終判断はつきませんが、1話だけ見れば今のところ完璧だと思っています。
劇場でBlu-rayを買うことができたので、これから家でゆっくり鑑賞したいと思います。
大人向けの素晴らしいアニメ映画でした。